脂肪を控えることは健康にマイナス
日本人は脂肪を取り過ぎている??
最近の日本人は、脂肪を摂り過ぎているという指摘がありますが、その指摘は実情と合っていません。
「国民栄養調査」に基づく資料によると、確かに昭和21年以降、日本人の脂肪摂取量は急激に増加していて、昭和50年には約3倍に達しています。
しかし、その後の上昇率はわずかで、昭和50年以降はほとんど増えていない。横ばいといってよい状態です。
今、脂肪や肉が目の敵にされているのは、昭和50年以降、脂肪はほとんど増えていませんが、
分母にあたる摂取エネルギーは2226キロカロリーから1948キロカロリー(平成12年)に減りました。
そのため、脂質エネルギーの割合が上昇したのです。それで「近頃の日本人は脂肪の摂り過ぎ」とさわがれるようになっていしまったというのが、まずひとつ。
それから、欧米人が脂肪、とくに動物性脂肪を摂り過ぎて、その結果、心筋梗塞が増えてしまったこと、これも背景にあります。
欧米の事情をそのまま日本に持ち込んで、動物性脂肪=生活習慣病の元凶となってしまいました。
しかし、それは欧米には当てはまっても、日本には当てはまりません。
欧米では食生活が豊かになるにつれて摂取エネルギーも上昇し、現在は1日3000キロカロリーを越えています。総エネルギー中の脂肪の割合も40%以上です。
対する日本は、総エネルギーの摂取量が2000キロカロリー弱で、脂肪の割合は25〜30%、欧米に比べると全然少ない。これは理想的な脂肪摂取量といえます。
昨今の行き過ぎたダイエットブームも、脂肪の摂取を嫌う傾向に拍車をかけており、これも大きな問題です。
脂肪の正しい知識・正しい摂取で健康な毎日を!
アメリカは、現在1人当たり1日140g程度摂っている脂肪の量を90gまで下げようとしています。
日本の脂肪摂取量は57.4g(平成12年国民栄養調査)で、アメリカの目標数値のおおよそ3分の2です。
虚血性心疾患を増やさないという点では、基本的には今の脂肪の摂り方でよいでしょう。
そもそも、欧米先進国では肉を食べることによってまず感染症が減り、寿命が延びました。
日本でも戦後、肉食が減りはじめて感染症が減り、第2段階として脳卒中が減ってきたという同じ流れがあります。
しかし、この段階で摂取量が程よく止まっているのが今の日本で、どんどん行き過ぎてしまったのが欧米という大きな違いがあります。
それに控えるどころか、脂肪をよく摂取している地域は、長生きという結果もでています。
むしろ、肉を控えて低栄養になるほうが問題です。単なる思い込みだけで肉を控えたり、脂肪を避けてりしてはいけません。